派遣は面接ができるのでしょうか?
今回は、企業側(派遣先)、労働者側両方からよく聞かれる質問について、
書いてみます。
果たして、法律的に派遣は就業前に面接ができるのか?
ということです。
結論を先に書きますと、できません。
派遣は、労働力の提供が基本趣旨ですので、
「人物を特定する行為」は禁じられています。
要するに、面接を行って、
「ちょっと暗そうだから」とか、
「もっと若い人がよいから」とか、
「顔が自分の好みではないから」とか、
このような理由で判断してはいけないのです。
もちろん、
事前にプロフィールシートを企業へ提供し、
働ける条件や、性別、おおまかな職歴などを伝えることは構いません。
労働力の提供なので、基本はそれで判断することが
求められるのです。
では、実際はどうなのか?
例外として、労働者側が希望した場合に、
「見学」は認められています。
派遣会社によっては「顔合わせ」などど称することもあります。
「見学」とは一体なんなのか?
これは、就業を行うことが前提で、
事前に職場を確認することです。
この時重要なのが、見学終了後に
派遣先は就業を断ってはいけないが、
労働者側は断ることができるのです。
何とも変な感じではありますが、
労働者保護の観点が一番大きいという事でしょう。
横行する「見学」という名の「面接」
さて、気になるのが、面接禁止という原則が
守られているのか、ということ。
これは、需要と供給、派遣先、労働者側の知識レベルによります。
例えば、介護施設への看護師の派遣。
現状はどちらかというと買い手市場。
買い手市場になるとどういうことになるかというと、
1、一つの募集に対して、応募者が多い
2、自ずと見学者も複数名になる
3、介護施設現場が選べる状況になる
4、自然と面接となってしまう
当然の結果です。
しかし、そうならないよう国の指針では、
一名の募集にいついては、見学は一名しかしてはいけないと
定めています。そうすれば、選ぶという行為が制限されます。
しかし、守られていないのが現状なのです。
派遣会社も啓蒙しなくてはならない
知識レベルが達していないことも原因です。
日々業務をしていて、
労働者側からは、
「この前面接してきまして」などど
しょっちゅう聞きますし、
派遣先からも、
「今、3名面接予定者がいまして」などど
平気で口にする担当者がいます。
特に介護施設はひどく、
思わず電話口でくどくどと説明しますが、
(たぶんウザイと思われている)
はあ?という反応が多いのが実際。
派遣会社に矜持はあるのか
もう一つの問題として、
派遣元(派遣会社)も、
その見学が面接になることがわかっていながら、
設定することです。
何故なら、バカ真面目に法律の趣旨を守っていると、
売上機会の損失につながるから。
私は、「バカ真面目」なのでここは守っていますが、
担当している派遣労働者の、
就業機会の損失になることもある。
ジレンマに陥っているのが、正直なところ。
法律のダブルスタンダードはよくある話ではあるが、
労働局にはもう少しがんばってもらいたいと、
思う次第です。
以上