他人のサービスから学ぶことは多い。
ときには、重要な気づきとなることがある。
昨年末の話。
奥歯が痛い。
ここ数年、クリーニング以外は
歯医者のお世話になった事は無かった。
痛いまま正月は迎えたくない。
時間有給休暇を取って仕事を抜け出した。
近所の歯医者へ直行。
仕事中にちょこっと抜け出せるのは
テレワークの恩恵。
コロナは早く収まってほしいが、
これには助かった。
検査の結果は・・・
「虫歯はないです。原因は、わからないですね・・・」
レントゲンを撮り一通り検査したが、
異常は無し。
歯の痛みはストレスや季節的なものなど、
さまざま考えられる。
結局痛み止めを処方され、様子を見る事になった。
とりあえず行けば解決すると思っていただけに、
落胆は大きかった。
痛みが引かなかったら、
正月に診てくれるのか?
不安は募る。
セカンドオピニオン
2週間後の12月29日。
案の定痛みが増してきた。
何もしなくてもズキズキと痛む。
冷たいものでなく、
暖かいものがしみるようになってきた。
知覚過敏がどうというレベルではない。
たまらず別の歯医者に行った。
経過を説明、恐らく何らかの原因で
神経が弱っているとの見立てで、
神経を取ったほうがよいとのこと。
驚くくらい、判断が早い。
私の様子を見て、
まずはこの痛みを解決せねばと
思ってくれたのだろう。
痛みが生じている歯には金属がつめられている。
その部分を削ってみた。
確かに、クラック(ひび)が入っていた。
原因がわかった。
治療は長くなるようだが、
出口が見えたことに救われた思いだった。
プロに求められる答え方とは
以前勤めていた会社でのこと。
新商品の展示会で、商品説明を担当した。
転職して間もない時期だったし、
キッチン用品を扱うのは初めてだったので、
質問への対応には明らかに苦慮していた。
そんな私を見かねて、
先輩社員が声をかけてくれた。
「営業としては、まごまごしてるのが一番良くない。
質問へ答える際は言い切ったほうがよい。
何かあったときは会社が守るから。」
視界が開けたような気がした。
顧客はプロである私たちに答えを求めている。
自身に満ちた言葉で、
安心させて欲しいと思っている。
プロであっても答えがわからないことはある。
そういったときでも、
経験値の中から、指針を与える。
それにより顧客は安心し、
とりあえずこの人に委ねてみようと考える。
一軒目の歯医者でほしかったのは、
その指針だった。
サービスを受けることは、経験値を蓄積すること
年が開けて、
その歯医者へは通い続けている。
痛みも引き、年末年始は無事に過ごせた。
治療もあと少しだ。
自分が受ける全てのサービスは、
教師であり教訓にもなる。
気づきはどんなところにも潜んでいる。
そういえば、
展示会で声をかけてくれた先輩社員は、面倒見の良い人だった。
会社に馴染めなく3年で辞めてしまった私に対し、
送別会を開いてくれた。
色んな思いがこみ上げてきて、送別会で私は泣いた。
歯の痛みが開いてくれたタイムカプセル。
あれからもう10年。
記憶に残る正月になった。
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