ヤマハ音楽教室の講師が労組を結成したんだって
コロナの影響でレッスンが休校になったのに、十分な補償がされてないとの主張だね
でも、講師って個人事業主でしょ?
そうだよ。だけど、問題はそう単純でもないみたいなんだよね
ヤマハ音楽教室の講師の方々が、
コロナ禍によるレッスン休校に対する
補償を求めて労組を結成したという記事を読んだ。
今回の騒動は2点のポイントが
あると思いますので解説します。
1、自由度の低い働き方にも関わらず個人事業主として契約する矛盾
2、芸術活動で食べていく難しさ
まず、記事の内容を抜粋します。
・コロナ禍を理由に昨年2月から全レッスンが休校となる
・ヤマハからの保障は、月収の2割ほどの「お見舞金」の支給のみ
・ツイッターで待遇に関するつぶやきが広まり、講師間で意見交換
・レッスン外業務に適切な報酬が支払われていないことなど、共通の不満が噴出
・昨年11月、休業への補償や病気やけがへの補償、レッスン外業務への適切な報酬支払いを求め労組を結成
記事の中に、このような記述がありました。
「教え方のマニュアルがあるなど、雇われた働き手と同じような自由度の低い働き方」
(記事からそのまま抜粋)
記事だけでは実際のところが
わからない部分はあります。
ただ、文面から推測しますと、
音楽家としての創造性や、
自分の個性を活かした指導ができるのではなく、
マニュアルにそった型通りの
指導が求められていることが想像されます。
そこに、
そもそもの不満が見え隠れします。
例えば、ライブハウスに
定期出演していたセミプロバンドがいます。
コロナ禍により出演がなくなり
収入がなくなってしまったとします。
この場合、ライブハウスに不満をぶつけるような
ことはしないと思います。
なぜなら、バンドは自分たちの責任で、
自分たちがやりたいことをやっているからです。
講師の方々は
ヤマハの意向を実現し利益を上げる「スタッフ」
としての立ち位置に近いと思われます。
それであれば、正社員か、
少なくとも更新制の契約社員にすることが正しいと思います。
個人事業主として契約する実態は、
給与補償などの負担を免れたいヤマハ側の都合と
思われてもしかたないと思います。
ここは大いに疑問が残りますし、
講師の方々の気持ちは理解できるところです。
なぜ、講師の方々は仕事を続けてきたのか?
では、なぜそのような窮屈で
疑問をいだく待遇でありながら、
講師の方々は働き続けてきたのか?
これに対しては、
講師の方それぞれの考えや事情があると思うので、
実際にインタビューしてみないとわからないところです。
ただ、記事にの中にヒントとなる言葉がありました。
「労組の結成大会を開いた。時には意見の違いから、
抜けようかと悩んだメンバーもいた。」(記事からそのまま抜粋)
どようなことで意見が
食い違ったのでしょうか?
ここからは想像の域をでません。
しかし、おそらく、
このようなことではないでしょうか。
「ヤマハのやり方に不満はあるけど、
好きな音楽に関わった仕事ができている。
波風を立てることはよいことだろうか」
音楽などの芸術活動で食べていくのは難しい。
周囲からの制限を受けずに、自分が思うとおりに活動して
食べていけている人など、ほんの一握りでしょう。
そんな中、好きな音楽に携わる仕事ができる。
教えた子供が上達していく姿が見られるやりがいもある。
おかしいと思いながらも、これでよしとしていた
講師の方も少なからずいたのではないでしょうか。
「好きを仕事に」のジレンマ
私も、中学生から23歳までバンドをやっていました。
今考えても不思議と、プロになるとか、
お金持ちになるとかの考えはあまりありませんでした。
自分の作る曲が好きだったこと、人にはないセンスが
自分にはあるかもしれないと思っていたこと。
(続けていても売れはしなかったと思うけど、
独特のセンスはいまだにあったと勝手に思っています(笑))
純粋に創作活動が楽しくて
やっていたような気がします。
当時CDショップで
アルバイトをしていました。
「好きを仕事に」が動機でした。
仕事はワクワクしながらやっていました。
それが伝わったのでしょうか、
バイトにも関わらず、新作CDの
手書きレビューを書かせてもらったり
していました。
そのときの店長からかけてもらった「素敵なことば」の話はコチラ⇊
それもマニアックな洋楽ヘビーメタルとかです。
デスメタルとかも書いていた(笑)
でも、正社員になりたいとは
思いませんでした。
もしそうなれば、売り上げ数字が求められるのは
わかっていました。
バイトのシフトの穴埋めをしたり、
楽しむよりも負担や責任がまさってしまうのは
見えていたからです。
正社員を見ていても、
そこは感じていました。
仕事なので当然ですし、
もちろん、本人の
取り組み方次第ではありますが・・・
話が脱線しました。
ヤマハの講師の方々の気持ちに戻ると、
好きな音楽を本当は
自分の個性を発揮して
やりたい。
しかし現実は、
マニュアルにそった指導に終始。
だったら、せめて
補償や報酬は適正な扱いにしてほしい。
こういった
好きなことを仕事にするジレンマが
根底にあるような気がします。
好きなことを仕事にする、
特に芸術系の仕事で食べていく難しさが
現れているできごとだと思いました
今後のヤマハの対応には
注視してゆきたいと思います。
「好きな仕事に出会うこと」を書いた記事はコチラです⇊