ラポールを形成するために、必要なこととは
今読んでいる、この本がおもしろい。
逆転交渉術――まずは「ノー」を引き出せ
https://www.amazon.co.jp/逆転交渉術――まずは「ノー」を引き出せ-クリス-ヴォス/dp/415209771X
著者は24年間に渡りFBIで人質交渉に携わった人で、
その後自身の会社を興し、企業へ交渉術のトレーニングを行っている
バリバリの人。
人質交渉とキャリアカウンセリング。
どちらかというと、日常の仕事に活きるかなと思い
購入しましたが、
どっこい、
キャリアカウンセリングとがっぷりとかぶる。
目からうろこ状態。
人の心理を操る共通戦略とは?
著者は「戦術的共感」という概念を核に置いており、
それは、交渉相手との信頼、関係構築が肝であると説いています。
ラポールの形成を出発点とするキャリアカウンセリングと同様です。
そして、色々な技法、手法を説いています。
例えば、以下の3つ。
1、ミラーリング:鏡のようにそっくり同じことを言い返すこと。
ミラーリングをすることで、進行がスローダウンし、相手は先に行ったことを
詳しく言い換えたり、関係を作る行為を続ける。
2、ラベリング:相手の感情を見抜き、言葉に変え、相手に向かって復唱すること。
ネガティブな思考を明るみに出すことにより恐怖を薄めたり、
感情にラベリングをすることで、生々しい緊迫感が断ち切られる効果がある。
ラベリングをした後は、沈黙をすることも大切。
3、要約:言われたことの意味を声に出して繰り返す。その意味の下にある
感情を受け止めること。そして、相手から「そのとおりだ」の言葉を引き出す。
「そのとおりだ」の言葉は、膠着状態から交渉を前進させる効果を持つ。
ミラーリング=反射
ラベリング=感情の反映
要約=要約
まさに、根底に通ずるのは、
アイヴィのマイクロカウンセリングに含まれる技法と同じである。
ノーと言わせる事から始まる?
そして、この本では、ノーと言わせることから交渉は始まると
説いている。この点もおもしろかった。
例えば、
相手に「お時間はありますか?」と聞くより、
「お時間はないですよね」と聞く方が良い。
前者は自分の要求を通そうとしており、
相手はその場しのぎの「イエス」を言う可能性がある。
後者は、相手はノーと言っても良いと許可を与えており、
相手の自立性を保持しているので、かえってこちらの提案を
良く見ることができる。
これは奥が深い。
また、大事な部分では声のトーンを落とす、
これを著者は、
「深夜のFMラジオのDJの声」と表現している。
初対面の人間と信頼関係を築くには、
共通した技法が用いられる。
これに気づかされただけでも、
2,000円弱のお金を支払ってこの本を購入した価値は大有り。
やっぱり、読書は最強だ。
以上