2019年、働き方改革がスタートする。
さて、今回は、前回の同一労働同一賃金に続きまして、
年次有給休暇の付与義務についてです。
義務化にまで踏み込んだ事には驚いた。
法律面の細かい内容は、多数の書籍などが出ていますので、
そちらを参照してください。
【ポイント】
1、義務化となるのは、年10日以上付与される労働者に対して、
付与日から年5日まで。
2、時季を指定して与えなければならないが、その時季は
使用者が勝手に決めてはいけない。
3、中小企業も大手企業と同時に適用となる。
4、労働者が自由に消化した分や、計画付与制度により消化した分も
5日に含まれる。
5、年次有給休暇の管理簿の作成、保存が3年間義務付けられる。
1は、週4日以下の勤務しかしていない派遣やパート社員は、付与日数が10日に届かないので、義務化には含まれないということ。
これは、長時間労働をしている人ほど有給休暇の消化率が低いという傾向があるため、
ピンポイントでそれらの正社員にメスを入れてきたと思われます。
2は、時季指定にあたっては、労働者の意見を聴く事、労働者の意思を尊重するよう努める事と、定められる予定です。
使用者としては業務の閑散期に一斉に消化させて、人手のいる繁忙期にはなるべく消化をさせたくないので、サービス業などは労働者との調整とやりくりに一苦労があるはず。
ところで、今も法律で認められている使用者による「時季変更権」との兼ね合いはどうなるのか?
3については、法律の改正にはありがちな中小企業への猶予措置が、
この法律にはない。平成31年4月1日より大手、中小企業関わらず一斉施行される。
小規模の飲食店や小売店などは、正社員が数名(下手すれば1人)で、他全員は
パートなんてこともありがち。
ヘルプするために、別の店舗への正社員の配置を厚くするか、マネージャー社員などがカバーする例が増えそうだ。
いずれにしろ、中小企業については余剰人員を抱える事が大きな負担につながる可能性がある。
4は、そのままの内容で、もともと有給の消化率が高く、正社員でも年間5日くらいは平気で消化できている企業は、それ以上消化させる必要は無い。
5は、間違い無く管理コストの増加につながる事なので、既存のタイムカードや
出勤簿などで代替できるかどうかが気になるところ。
違反には罰則がある。
この法律に違反した場合、使用者は30万円以下の罰金に処せられる。
時間外労働の上限規制と同様で、罰則が科せれる事の重みは大きい。
また、いわゆる日本的風土と言われる、
「周りが取らないので取りずらい」
「上司が取らないので取りづらい」
というような雰囲気の改善には、是非つなげてほしい。
狙いの本質は、生産性の向上。
毎日が自宅と会社の往復だけ。家では疲れてすぐ寝るか、お酒を飲む日々。
不健康で、新しい刺激や知識に触れる機会が無いことは、
仕事と生活の質の低下につながる。
この法律が少しでも、
「会社、仕事が一番と考えてしまう、日本人全体の文化感」
の変化につながる事を期待したい。
以上