2019年、働き方改革がスタートする。
さて、今回は、長時間労働の是正に関してです。
大きくは二つのことを取り上げます。
時間外労働の上限規制は、法律への格上げがポイント。
法律面の内容は、大まかに説明します。
細かい部分は書籍などを参照してください。
【ポイント】
1、時間外労働の上限規制は、
「告示」から罰則のある「法律」への格上げがポイント。
2、そもそも、今まで制限が無かった事がおかしい。
3、月60時間超の時間外割増賃金率が、いよいよ中小企業へも適用。
1については、少し詳しく書いてみます。
【今まで】
・根拠→「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準 」(労働省告示)
・時間外労働の限度時間 ※()内は対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の場合。
1か月→45時間(43時間)
1年間→360時間(320時間)
違反したら行政指導、罰則無し。
・36協定により、特別条項付き協定を締結した場合
→残業時間、実質上限無し。
【これから】※新労基法、平成31年4月1日~(中小企業は平成32年4月1日より適用)
・根拠→新労基法(法律へ格上げ)
・時間外労働の限度時間 ※()内は対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制の場合。
1か月→45時間(43時間)且つ、1年間→360時間(320時間)まで。
違反したら、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金。
・36協定により、特別条項付き協定を締結した場合
→1年720時間まで。この場合でも以下のいずれも満たさなくてなならない。
1、単月で100時間未満(時間外労働+休日労働)
2、2~6か月平均で月80時間以内(時間外労働+休日労働)
3、原則限度時間である月45時間を上回る回数は年6回まで
ここで詳しい方は、月100時間、平均80時間て、前にもどこかで見たな?
と思われる方がいると思います。
これ、「過労死の認定基準」です。
今回の法律による上限時間は、過労死の認定基準を基に
定められているのです。
労働者が、経営者と対等に自律することが大事。
ポイントは、法理に格上げされ、罰則が定められた事。
今回、このことは大きく、経営者、労務担当者は、
しっかり管理監督を行ってゆかないと、
自らの身に大変なことが起きてしまうかもしれません。
しかし、まだ疑問に思うのは、
単月でも100時間未満の残業が認められていること。
月20日出勤の会社だと、1日5時間程度の残業。
9時~18時が所定とした場合、23時頃までの残業勤務だ。
これが毎日の会社なら、相当ブラック。
法律で上限規制が定められたという事は、裏を返せば、
法律の範囲内であればお墨付きが与えられたということ。
また、36協定締結に至る過程について。
私の職場でも過去に、法律に明るくない事務職員が
過半数代表とさせられ、なにげなく36協定が締結されていた事がありました。
労働組合の組織率が下降線をたどる昨今、
そもそもきちんと協議して、
過半数代表を選出している企業がどれくらいあるのだろう?
経営側に対しての、労働者側の立場の弱さ、無知の改善が、
実効性を担保するカギになるだろう。
2は、そもそも、今までって法律で規制されたていたんじゃなかったの?
と、疑問に思う人も多いと思う。
まずは「告示」というのが曖昧で、単なるお知らせとか、法律を補強するものと
捉えられているが、「法律」になると曖昧さは無く、有無をいう余地がなくなる。
また、36協定締結時の上限を定めたのは意味がある(時間数については上記記載の通り疑問もあるが。。。)
3については、平成27に改正された法律だが、中小企業には適用の猶予があった。
それが平成35年4月1日から猶予が撤廃されることとなった。
月60時間というと、20日の勤務で考えた場合、1日3時間程度の残業。
9時~18時所定なら、21時頃まで残業する感じ。
この程度の企業は結構ありそうだあ・・・
ちなみに、50%割り増しになるのは、60時間を超えた時間分のみです。
時間は、自分のために使う。
まとめると、罰則付き上限が認められたことにより、
恒常的に長時間労働をさせることは、できなくなるということ。
ただし、業務の繁閑に応じた一時的な長時間労働については、
むしろ法律で明確化され、お墨付きを得た形で可能となる。
今後企業へは、
漏れのない労務管理、
一層の従業員の健康管理、
が一層求められることとなるでしょう。
お金や、スキルアップにつながらない時間の使い方は、無駄。
そして、時間は有限です。
金持ちも、貧乏な人も、与えられた時間だけは公平。
仕事の進め方の効率が悪いために発生している残業、
必要と思われない業務のために渋々行う残業、
付き合い残業、
こういうことは全く意味がない。
「働き方改革」を、「自分の意識改革」にもつなげてゆきたい。
以上