セルフ・キャリアドックの夜明け
最近、セルフ・キャリアドック導入のかけ声が、
かまびすしいです。
導入した中小企業には補助金も支給されるため、
国としては本腰を入れて、導入を進めていきたい構え。
さて、大事なところは、何を目的として導入するのか。
補助金がもらえるのなら、
という理由でも、良いと思うんです。
まずはキャリアカウンセリングを導入する企業が増え、
キャリコンの活躍機会が増えるのであれば。
ただ、補助金の支給要件で気になる部分が。
まずは、まとめです。
人材開発支援助成金(セルフ・キャリアドック制度導入)
【補助金金額】
・47.5万円(生産性要件を満たした場合60万円)※一度限りの支給。
※生産性要件→一人当たり付加価値が3年前と比べ1~6%アップしていること。
【支給要件】
1、全社員を対象とすること。
2、国家資格者のキャリアコンサルタントが行うこと。
3、JOBカードを使用すること。
4、費用は全額事業主が負担すること。
5、個別面談形式で行うこと。(電話、スカイプ、メールなどはNG)
6、セルフ・キャリアドックを規定した就業規則、または労働協約を作成し届け出ること。
もちろん、上記以外に、
セルフ・キャリアドックの内容をまとめた制度導入、適用計画書を
労働局へ提出することが必須です。
私が気になるのが、1の「全社員を対象とすること」という項目。
本来、キャリアコンサルティングは
企業の、今ある人事課題に対して行うことが
最も効率的で、効果があると考えます。
例えば、従業員50名の企業が、
課長職以上の管理職層の、キャリア形成やチーム指導に課題を感じ、
制度を導入したいと考えた場合。
補助金支給を受けるには、全社員にキャリアカウンセリングを
行なわなければなりません。
目的である課長職以上も、週2日の勤務のパート社員にも、
等しく行わなくては補助金はもらえないので、
そこまでキャリコンのマンパワーと時間を割くことは、
現実的には難しいと思われます。
セルフ・キャリアドックの
効果的な導入事例を増やしたいのなら、
どの人たちに対して、どのような目的で行い、どのような効果があったのか、
という基準で補助金を支給すべきでしょう。
実際、このような基準では、審査や手続きに
手間や時間がかかりすぎて、
行政が行うことは難しいのでしょう。
現実的には、補助金目的で社員2~3名の企業が
この制度の導入のために、導入支援会社へ殺到しているようです。
補助金による普及策の限界を見るようです。
この章終わり。