「経験代謝」という言葉を
ご存じでしょうか?
「経験代謝」とは、JCDA(日本キャリア開発協会)が提唱している、
キャリア理論の一つです。
キャリアコンサルタントの方は知っている人が
多いと思いますが、一般にはあまり知られていない
言葉ですよね。
内容もややわかりにくいのですが、
ベースの考えはシンプルで、
なりたい自分に近づくために
とても有効な考え方です。
今回は「経験代謝」をわかりやすく解説します。
目次です⇊
「経験代謝」の最初の印象
この理論は2009年3月にJCDAにより発案、命名されました。
私がCDA試験に合格し、JCDAに入会したのが2009年9月です。
時期はほぼ同じなのですが、日本マンパワーのCDA講座で
習った記憶はありません。
ですので、最初に「経験代謝」と聞いたときは「?」
と思った記憶があります。
言葉から内容がイメージしにくいと思ったのが
最初の印象です。
「経験代謝」とは
まずは、定義の説明です。
「経験代謝」の定義
経験を心に(自己概念)に取り入れ、
「経験代謝」サイクルを繰り返して、
キャリアを形成するという考え方。
自己概念の発達のモデル。
文章にすると少し
わかりにくいような気がします。
続けて重要な3つの概念を説明します。
・「経験の再現」→過去の出来事を再現し、その時どう思い、感じ、行動したか
・「意味の出現」→経験をどうとらえたのか(自己概念化したか)
・「意味の実現」→自己概念で選択、決断、行動する
これら3つの概念をぐるぐると回し、
なりたい自分に近づいていくことが
「経験代謝サイクル」です。
図に表すとこういう感じです。
※JCDA/キャリアカウンセリングのメカニズム講座資料より抜粋。
~「経験代謝」をわかりやすく言い換え~
では、「経験代謝」をわかりやすく
言い換えて説明します。
このような感じでしょうか。
・出来事を思い出し、そのときに感じたことから(経験の再現)
・自分は本来どうありたいのかを考え(意味の出現)
・決断し、行動に移す(意味の実現)
シンプルな考え方ですし、
仕事のシーンだけでなく、
人生のあらゆる場面で使えます。
具体的な事例で考えてみましょう。
企業に所属して働いている方の場合です。
・期待していた昇進が叶わず、残念な思いだが(経験の再現)
・人の上に立つことより、専門家になりたい自分に気づく(意味の出現)
・外部の研修に申し込み、専門性を磨く行動を始める(意味の実現)
転職、キャリアチェンジの場合です。
・飲食店のハードな働き方についていけず、短期間で辞めてしまいだめな人間だと思う(経験の再現)
・でも、人と接するときは夢中になれる自分に気づく(意味の出現)
・カウンセラーになることを決断し、資格試験に申し込む(意味の実現)
いかがでしょうか。
経験したことをそのままマイナスととらえるのではなく、
そこからありたい自分見出し、
行動に移すサイクルを回すことで、
ありたい自分に近づいていけそうですね。
「経験代謝」を利用すべき場面とは
では、なりたい自分に近づくには、
「経験代謝」をどのような場面で活用
すればよいのでしょうか?
ここからは個人的な意見ですが、
不満や、怒りの感情が生まれたときこそ、
なりたい自分に気づける機会ではないでしょうか。
不満や怒りの感情は、
「こうありたい」という気持ちとの
ギャップから生まれます。
不満や怒りの感情が生まれたときは、
出来事を思い出し、そのときどう思ったかを
心の中で「再現」する。
そこから本来のありたい自分が「出現」する。
ありたい自分に向かうための行動を「決断」し、
「実現」する。
そして、キャリアにおいて常に
このサイクルを回してゆくことができれば、
なりたい自分に近づいていけるはずです。
まとめ
「経験代謝」のわかりやすい言い換えです。
・出来事を思い出し、そのときに感じたことから(経験の再現)
・自分は本来どうありたいのかを考え(意味の出現)
・決断し、行動に移す(意味の実現)
そして、「経験代謝」を活用し、なりたい自分に
近づくには、不満や、怒りの感情が湧いたときに
実践してみてはいかがでしょうか。
ポジティブシンキングは、
物事の見方、とらえ方を変えることですが、
「経験代謝」は本来の自分を
深堀り、それを素直にとらえ、
行動に移すことに違いがあります。
気持ちの奥底にある
ありたい自分の声に耳を澄ましてみましょう。
そして、今日から行動することで、
人生は大きく変わります!